西條八十(1892~1970)作詞、古賀政男(1904~1978)作曲、仁木他喜雄〈1901~1958〉編曲、李香蘭(1920~2014)歌
1 花を摘み摘み 山から山を 歌いくらして 夜霧に濡れる わたしゃ気まぐれな
蕃社の娘 親は雲やら 霧じゃやら ハイホー ハイホー
2 谷の流れが 化粧の鏡 森の小枝が 緑の櫛(くし)よ わたしゃ朗らか
蕃社の娘 花のかんむりで 一踊(ひとおど)り ハイホー ハイホー
3 月の夜更けの 杵唄(きねうた)聞いて 何故に涙よ ほろほろ落ちる わたしゃ年頃
蕃社の娘 深山(みやま)育ちの 紅(あか)い花 ハイホー ハイホー
4 紅(べに)の檜(ひのき)に 黒髪寄せて 遠く眺める 浮世の灯かり 泣くな可恋鳥(カーレン)
おまえが啼けば 山の蕃社に 霧が来る ハイホー ハイホー
西條八十(1892~1970) 作詞、古賀政男(1904~1978)作曲、奥山貞吉(1887~1956)編曲、渡辺はま子 (1910~1999)歌
嵐吹きまく峰(みね)ふもと 流れ危(あや)ふき丸木橋
渡るは誰(たれ)ぞ うるはし乙女 紅(あか)きくちびる ああ サヨン
晴の戦(いくさ)に出(い)でたまふ 雄々し師の君 なつかしや
担(にな)ふ荷物に 歌さえ朗(ほが)ら 雨はふるふる ああ サヨン
散るや嵐に 花一枝(はなひとえ) 消えて哀しき水けむり
蕃社(ばんしゃ)の森に小鳥は啼(な)けど なぜに帰らぬ ああ サヨン
清き乙女の真心を 誰(たれ)か涙に偲ばざる
南の島のたそがれ深く 鐘は鳴るゝゝ ああ サヨン
西條八十(1892~1970) 作詞、古賀政男(1904~1978)作曲、霧島 昇〈1914~1984〉・菊池章子〈1924~2002〉歌
1 春はやさしい 緋桜(ひざくら)が 赤く七つの 峰染めて
谷はペタコの 歌ばかり おもひでの おもひでの
蕃社(ばんしゃ)の村はなつかしや
2 霧がふるゝゝ 秋の夜に 聞いた杵歌(きねうた) 愛の歌
旅のこころが また痛む おもひでの おもひでの
蕃社の村は なつかしや
3 けふが別れと ふり返る 小雨さびしい 山の径(みち)
泣いて手をふる 君や誰(たれ) おもひでの おもひでの
蕃社の村は なつかしや