人通りのまばらな愛知県豊橋の商店街。春日直也(奥田瑛二)と良子(竹下景子)が夫婦で営む<バーバー春日>は、他の美容院に客をとられて開店休業状態だ。高校1年生の一人息子・俊也(金井勇太)との3人暮らしである。ある日の午後、良子は、暇があれば店を空けてスナック<ナポリ>の麻美(金久美子)のところへ入り浸っている直也と口論の末、店を飛び出す。町をぶらぶらし、フルーツパーラーで休んでいると、初老の知的な男性・岩上始(山本學)に声をかけられる。鎌倉から旅行に来ているという始との会話を楽しんだ良子は別れ際に「なんて綺麗なんだ」と不意に言われ、胸をときめかせる。その翌々日、バーバー春日に始が現れる。始は直也に向かって言いにくそうに、それでいて真っ直ぐな口調で「一日、奥さんを100万円で貸してもらいたい」と切り出す。しかも、一緒に歩くだけでいいと。良子はわけがわからず怒って奥へ引っ込んでしまうが、直也は突如ふってわいた目の前の100万円に興味津々の様子。妻の手前、表面上は断ったが、犯罪性はないと聞いたとたん、未練たっぷりに。良子はそんな直也の態度が気に入らない。自分の無茶な依頼で喧嘩を始めた2人を見て始は謝って店を出て行くが、何かしら心に引っかかるものがあった良子は始を呼び止め、お金抜きならその風変わりなデートを引き受けると約束、楽しく時間を過ごした後、良子は始から突然驚くべき告白を聞くことに…。